目次
はたらき別 成分の解説
サプリメント成分のはたらきって?
妊活中の方から、サプリメントも成分も種類が色々あり過ぎてわからない、
葉酸以外に何を飲めばいいの?、と言った声が多く届きます。
ここではサプリメントに含まれる主な成分について、そのはたらきをご紹介します。
今、飲んでいるサプリメントの確認に、
ご自分の体の状態に合わせて何を補えば良いかの目安に、
などなど、ご活用ください。
※妊活期から産後まで、時期によって必要な栄養量は変化します。
1. DNA合成について
葉酸
ビタミンB群に属する水溶性ビタミン。ビタミンB12とともに赤血球の形成や、細胞増殖に欠かせないDNAの合成に触媒として働きます。
胎児の脳や脊髄のもとになる神経管は、妊娠に気づきにくい妊娠初期に形成されるため、この時期に葉酸が欠乏していると二分脊椎、無脳症などの神経管閉鎖障害を発症するリスクが高まります。
妊活中、妊娠の可能性のある女性は、胎児の神経管閉鎖障害の発症予防のため、通常の食事に葉酸のサプリメントを加え1日400㎍の摂取が望まれます。なお、 過剰摂取による悪影響の報告もあり、1日当たり1mg を超えないこと。
【摂取のタイミング】
妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までの間は400㎍/日
亜鉛
身体に必須の微量ミネラルの一つ。筋肉や骨を中心に、皮膚や肝臓、膵臓などの多くの臓器に存在し、300種類以上の酵素の構成要素として、多くの生理作用にかかわっています。
また、蛋白質の再合成やDNAの合成にも欠かせないため、胎児や乳児の発育、生命維持に重要な役割を果たしています。ほかにも新しい細胞がつくられる組織や器官では必須。
亜鉛の不足は味覚障害や口内炎、皮膚炎、脱毛を起こしたり、傷を治りにくくし、免疫力や性腺機能を低下させます。
男性には精子をつくるために必要な栄養素であり、不足すると性欲の減退、精子の数や運動率が低下するといわれ、女性も不足すると生理不順になりやすくなります。
【期待される効果】
精子の細胞膜の安定化,精子アクロシン活性の抑制,精子運動能の改善
ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類で、生きるために必要なエネルギーを作るのに必要な栄養素。DNAの生合成や赤血球の生成にも欠かせません。
これらは単独ではなくそれぞれが補い合って機能します。
水溶性のためビタミンB12を除いて体内に貯蔵されにくく、定期的な摂取が必要です。特にエネルギー需要の高まる妊娠中は、エネルギーの産生に関連が深いビタミン B1、B2の摂取量を増やします。
また、つわりが重いときはビタミンB1 が欠乏しやすく、重篤な神経学的後遺症を発症する可能性があり、ビタミンB6、B12、葉酸の不足は、妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剝離との関連が示唆されています。
【摂取のタイミング】
毎日
2. エネルギー産生について
糖質、脂質、タンパク質からのエネルギー代謝過程に欠かせない補酵素として作用します。
運動時、筋肉を動かす原動力になるのは、ATP(アデノシン3リン酸)というエネルギー源物質です。糖質や脂質を分解し、ATP生成を続けるために、ビタミンB群をバランス良く摂取することが非常に重要な意味を持ちます。
ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類で、生きるために必要なエネルギーを作るのに必要な栄養素。DNAの生合成や赤血球の生成にも欠かせません。
これらは単独ではなくそれぞれが補い合って機能します。
水溶性のためビタミンB12を除いて体内に貯蔵されにくく、定期的な摂取が必要です。特にエネルギー需要の高まる妊娠中は、エネルギーの産生に関連が深いビタミン B1、B2の摂取量を増やします。
また、つわりが重いときはビタミンB1 が欠乏しやすく、重篤な神経学的後遺症を発症する可能性があり、ビタミンB6、B12、葉酸の不足は、妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剝離との関連が示唆されています。
【摂取のタイミング】
毎日
たんぱく質
たんぱく質は、炭水化物、脂質と共にエネルギー産生栄養素のひとつです。
全ての動物および植物の細胞を構成する主要な成分であり、水分を除いた体の約50%を占めます。
卵子や精子の生殖細胞をはじめ、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体を構成する成分、そして、排卵や着床に欠かせないホルモン・酵素・抗体などの体の調節機能成分でもあります。
豆・卵・肉・魚などの食品に多く含まれ、生命の維持に欠くことができないものです。例えば、たんぱく質が不足すると筋肉量が減少し、体が冷えることで妊娠力も低下してしまいます。
【摂取のタイミング】
一度にたくさん摂るより、毎食こまめに摂ると良い。
3. フローラ改善について
ラクトフェリン
抗菌作用をもつ鉄結合蛋白質の1つ。プレバイオティクス(善玉菌の育成に有用な機能性食品)として、腟内細菌叢を正常化して早産を防ぐ目的で使われます。
【摂取のタイミング】
生理中から胚移植後1週間後くらいまで少なくとも1カ月間程度服用
乳酸菌
発酵によって糖から乳酸をつくる嫌気性微生物の総称。腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑え、腸内の菌のバランスを整えます。便通の改善、
コレステロールの低下、免疫機能の向上など、さまざまな働きがあります。
さらに最近では子宮内フローラの存在が確認され、着床環境との関係が取り上げられるようになりました。
子宮内フローラは乳酸菌をメインに形成されていることが重要で、乳酸菌の割合が低いと着床不全を招くことが報告されています。
4. 抗酸化について
アスタキサンチン
天然の赤色色素で、サケやマス、エビやカニの甲羅などに多く含まれています。ビタミンEの1,000倍ともいわれる強力な抗酸化作用をもち、紫外線や脂質過酸化反応から生体を防御する因子として働いていると考えられています。
不妊治療においては、受精や胚の発育に酸化ストレスが関与するため、抗酸化作用のあるサプリメントの摂取により細胞のダメージを軽減する効果が期待されています。
さらに精子の産生や成熟過程にも精巣内の酸化ストレスの関与が推測されており、精子濃度も精子運動率も上昇する傾向が報告されています。サプリメントの過剰摂取で胃痛や腹痛を起こすことがあります。
【摂取のタイミング】
6-12㎎/日を12週間程度
メラトニン
脳の松果体から分泌されるホルモンの一つ。体内時計を調整し睡眠のリズムを整える作用と、細胞を酸化ストレスから保護する抗酸化作用が知られています。
それに加えて卵胞液中には血中濃度の2倍以上のメラトニンが存在し、卵胞の発育に比例して増加することから、メラトニンは排卵過程において生じる
酸化ストレスら卵子を保護していると考えられています。
メラトニンの投与により受精率や妊娠率が向上し、卵子の質の改善効果を認め、顆粒膜細胞の保護作用により黄体機能も改善したという研究報告や、
培養液に添加することで体外での卵子の老化、胚の質を向上があり、不妊症の治療の一つになるのではないかと期待されています。
培養液に添加➡抗酸化作用があることが知られている。マウスの実験であるが、排卵後の老化卵子に対してあらかじめ培養液にメラトニンを1mm添加しておくことで
アポトーシスを有意に抑制して受精能を高めたという。卵子を酸化ストレスから守ると考えられている抗酸化剤であり、
卵子内での活性酸素の蓄積を防ぐ働きがある。アポトーシスを遅らせ、受精期間の延長、体外での卵子のエイジングから胚の質を向上させることを報告している。
【摂取のタイミング】
医師の指導のもと、生理数日後から排卵日前日3㎎/日
L-カルニチン
肝臓で合成されるアミノ酸の一種。細胞内のミトコンドリアのエネルギー産生を促し、体内の活性化に欠かせない物質。
サプリメントの摂取により男性では精子の運動性の向上、女性では卵子の劣化抑制といった報告があります。
また、体内の脂肪や糖を燃焼させる働きからダイエット効果や、認知機能の改善が報告されています。
L-カルニチンは、
20代までは体内で生成されますが、年齢とともに合成できる量が減少していきます。
【摂取のタイミング】
軽い運動の1時間前、空腹の状態で服用
レスベラトロール
天然ポリフェノールの一種で、抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用を示します。
カロリー制限をすることで活性化する長寿遺伝子SIRT1(サーチュイン1)のスイッチをオンにする働きによって、抗酸化作用を示して老化現象を抑制します。
この働きから、卵子の質の改善や卵巣機能低下を防ぐ可能性が示唆されています。
また、抗アンドロゲン作用、インスリン抵抗性改善作用をもち、多嚢胞性卵巣症候群や肥満・糖尿病などによる卵巣機能低下への効果が報告されています。
【摂取のタイミング】
着床率を下げるので、移植後は控える
コエンザイムQ10(CoQ10)
生体の細胞のミトコンドリア内膜に分布する脂溶性の抗酸化物質(ユビキノン)で、細胞が適切に機能するために必要な成分。
動物実験ではあるが、CoQ10 を培養液に添加することで胚や血球の ATP 含量の上昇が報告されています。
また、精子のエネルギー代謝を促進するとされ、CoQ10の投与により精子濃度や精子運動率、正常形態率が有意に改善されたという報告もあります。
ビタミンC
皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須の栄養素。抗酸化作用があり、生体内でビタミンEと協力して活性酸素を除去します。
ビタミンCの欠乏によりコラーゲンの合成ができないので血管がもろくなって出血しやすくなります。
ビタミンE
強い抗酸化作用をもつ脂溶性のビタミン。体内の脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓の予防、血圧の低下、LDL(悪玉)コレステロールの減少、
細胞膜を健全に保つなどの働きがあります。
紫外線や外的刺激から肌を守り、適度な潤いを保つために必要なバリア機能を安定させます。
ビタミンC、βカロテン、ビタミンB2、セレンと一緒に摂ることで抗酸化力アップにつながります。
PQQ(ピロロキノリンキノン)
ビタミンに似た働きをする物質で、ヒトの体内では細胞内のエネルギーを作り出すミトコンドリアなどに存在します。
哺乳類の成長発達や生殖、免疫機能に必須の物質であり、欠乏するとさまざまな病気になります。また、複数の活性酸素を抑制する高い抗酸化作用をもち、
ミトコンドリアの活性化や細胞の抗老化作用が期待されています。
不妊治療においては、PQQは高い抗酸化力によって、酸化ストレスから卵胞を守り、エネルギーを作り続けるようにして卵胞の成熟をうながし、排卵を助ける効果があるといわれています。
5. その他
ビタミンD
腸管からカルシウムの吸収を促し、骨への沈着を促進する、副甲状腺ホルモンの産生を抑制するなど、
骨形成や血液中のカルシウム・リン濃度の調整にかかわる脂溶性ビタミン。
最近では免疫アレルギー、脳・骨格筋機能の調整や、生殖機能にビタミンDがかかわることが明らかになりました。
血液中のビタミンD〔血清25(OH)D〕の濃度と精子の運動率、習慣流産や抗ミュラー管ホルモンとの関連や、体外受精での受精卵の着床率、妊娠率、出生率、流産率との関係性が報告されています。
【摂取のタイミング】
ビタミンDのサプリメント摂取の適応:血清25(OH)D が 30 ng/mL 未満( 1,000 IU/日)
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
副腎皮質や卵巣の莢膜細胞で分泌される性ホルモンの前駆物質。テストステロンやエストゲンのもとになります。
血中濃度は20代でピークを迎え、加齢とともに減少します。女性ではDHEAが不足すると卵巣の反応性が低下すると考えられています。
卵巣機能が低下している場合、DHEAの摂取により採卵数や成熟卵胞の増加、胚質の改善、妊娠率の向上が期待されています。日本国内では医薬品に該当します。
【摂取のタイミング】
生理開始前から採卵周期まで50mg/日
鉄
人体に必要なミネラルの一つで、ヘモグロビンや酵素を構成する要素の1つ。主に赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、
肝臓や骨髄、筋肉などに貯蔵鉄としてストックされています。不足により鉄欠乏性貧血を起こしたり、運動機能や認知機能の低下を招きます。
女性は月経の有無や妊娠・授乳期にあるかどうかによって、必要量が左右されます。
肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があり、ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収がよく、
ヘム鉄を利用することで非ヘム鉄の吸収もよくなります。また動物性蛋白質やビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。
L-アルギニン
天然に存在するアミノ酸の一種。成長ホルモンの分泌を促し、筋肉を増強するほか、免疫力を高め、
傷を早く治す効果があります。ビタミンEとともに摂ることで血流を改善し、女性では子宮内膜を厚くします。
男性ではEDの改善や精子の数や運動率を改善するといった効果が注目されています。
肉類、ナッツ類、大豆、玄米、卵、マグロ、エビなどに多く含まれます。
【摂取のタイミング】
胚移植前
イノシトール
糖アルコールの一種です。生体内でグルコース(ブドウ糖)から生合成され、動物の体内では細胞膜に多く含まれています。
植物では穀物の糠や豆に多く含まれています。白色の結晶性粉末で、臭いはなく、後味のないすっきりした甘みを持っています。
一般に食品添加物に栄養強化剤として使用が認められており、脂肪肝や動脈硬化を予防し、脳細胞に栄養を与える効果があるといわれています。
また、人間の初乳に多く含まれ、乳児に欠かすことのできない成長物質ともいわれており、粉ミルクにも添加されています。
不妊の原因のひとつである多嚢胞性卵巣症候群や胎児の神経管欠損症の予防にも効果があるといわれています。