人工授精を繰り返しても結果が出ない…
繰り返し胚移植をしているにも関わらずなかなか着床しない…
そんなお悩みを抱えている方は、まずこちらの内容をチェック!
着床しにくい原因(着床障害)はいくつも考えられますが、大まかに2つに分けられます。
「子宮(内膜)側の問題」
子宮内膜が炎症を起こしてしまっていたり、厚さが薄かったり、受精卵を排除する免疫が強く働いてしまう場合など。
「受精卵(胚)側の問題」
受精卵が上手く孵化できていなかったり、染色体に異常があったりする場合など。
それぞれの原因や検査、治療に関するドクターの解説をまとめました。
子宮内膜に十分な厚みがない場合、それが原因で着床しにくい可能性があります。
手術により子宮内膜が薄くなってしまったり、女性ホルモンや黄体ホルモンの不足によりなかなか子宮内膜が厚くなりにくい体質など、いくつかの理由が考えられます。
子宮の形によっては、着床しにくくなる可能性があります。
全ての子宮内膜ポリープや子宮筋腫が着床を妨げる原因になるわけではありません。ただし、位置や大きさによっては、着床しにくくなる可能性があります。
超音波検査や子宮鏡検査で確認されることが多いです。
子宮内膜症が重度の場合は着床しにくくなる可能性があります。
卵管水腫がある場合、卵管内に溜まった分泌液が子宮へ逆流し、着床環境を乱している可能性があります。
卵管水腫の有無は卵管造影検査や腹腔鏡で確認することができます。
子宮内膜に炎症が起きている場合、着床しにくくなる可能性があります。
子宮内膜に炎症が起きる子宮内膜炎の他、慢性的に荒れた状態になっている慢性子宮内膜炎、それにかかわるALICEやCD138といった検査や治療法などについて。
子宮内膜が受精卵を受け入れやすい時期のことを着床の窓と呼びます。この着床の窓と受精卵が子宮にやってくるタイミングがずれていると、着床しにくくなる可能性があります。
子宮内は善玉菌の乳酸菌が多いほど着床しやすいといわれています。悪玉菌が増え、細菌バランスが崩れている場合は、着床しにくくなる可能性があります。
子宮内細菌を調べる子宮内フローラ検査や、細菌環境を整えるプロバイオティクスや乳酸菌といった治療法について。
体の中に異物が入ってきた場合、身を守るために免疫機能が働いて異物を排除します。子宮の免疫に異常がある場合、受精卵を異物とみなし攻撃してしまい、着床を阻害している可能性があります。
子宮の免疫に関するTh1/Th2やNK細胞活性などの検査や、タクロリムス療法といった免疫治療について。
傷を修復するのに活躍する血小板。この血小板を用いて、なかなか厚みがでない子宮内膜を元気にする可能性がある治療法です。
着床前の子宮内膜に軽いひっかき傷を作ると、体がその傷を修復しようとする過程で着床しやすい状態なる可能性があると考えられています。
繰り返し胚移植を行っても着床しない場合に、1度の胚移植周期に複数の胚を移植する方法があります。
初期胚移植をした数日後に胚盤胞を移植する二段階胚移植や、1度に2個の胚を同時に移植する二個胚移植などがあります。
お父さんとお母さんからDNAを受け継ぐ受精卵。この受精卵の染色体に異常があると、着床しにくく、流産しやすいと考えられています。
受精卵に染色体異常があるかどうかは、見た目だけで判断できず、特別な検査(PGT)が必要になります。
受精卵は殻(透明帯)に包まれており、着床する前に孵化(ハッチング)します。この孵化が上手くいかない場合、着床できないと考えられています。
孵化しやすくなる治療としてアシステッドハッチングという方法があります。
ヒアルロン酸は子宮の中で着床する時に増え、受精卵の移動や子宮内膜への接着を助けていると考えられます。
繰り返し胚移植を行っても着床しない場合などは、エンブリオグルー(高濃度のヒアルロン酸を含む培養液)を使用することで、着床しやすくなる可能性があります。